第2回:植村ほとりさん「自分たちの”好き”を恥じらわずに好きと言える社会へ」

社会課題解決に取り組む学生のストーリー

allesgoodのインターン生の由衣です。
今回は、ファッションやサステナビリティ、エンタメを軸に活動するICU4年生の植村ほとりさんにインタビューしてきました!

自身が好きなファッションやエンタメを軸に活動するほとりさん。
好きな分野で活動するほとりさんの姿はきらきらと輝いて見えますが、その根底には人や社会への優しい想いがあるのだと分かり、じんわり心が温かくなるインタビューでした。

そんなほとりさんの輝きと優しさの両方に想いを馳せながら、ぜひ読んでみてください。

自己紹介

名前:植村ほとり
活動団体:own!t
経歴:2022年現在は4年生。「他の何者にもならなくても、そのままのあなたで充分だと思えるように。」をコンセプトとするown!tを立ち上げ、現在も代表として活動中。卒業後は、以前から好きな映画・ドラマに関する仕事をする予定。

人々の好きを応援する、サステナビリティ × ファッションの活動

ーー代表を務めるown!tでは、「自分の要らなくなったモノは誰かの欲しい/必要なモノかも知れない」をコンセプトにフリーマーケットをされているんですよね。

そうです!要らなくなったモノに付加価値をつけて販売しています。
要らなくなったモノですが、あえて価格をつけて販売しています。いらないからと無料で販売すると、無料だからという理由で買ってすぐに捨ててしまうことがあると思うんです。長く大切に使ってもらえるように、あえて価格をつけています。

他にも、フリーマーケットで販売するもののストーリーを伝えることも大切にしています。金額を書いてあるタグに、誰のものだったのか、どんな思い出があるのかを書いていたり、フリーマーケットに立って販売するメンバーが実際にもののストーリーについて伝えたりしています。

ーーフリーマーケットで印象に残っているエピソードはありますか?

フリーマーケットに来てくれたICUの学生が、私のおじいちゃんが着ていたものを手にとって、「デザインも気に入ったし、家族の中で受け継がれてきたのも素敵です!」と買ってくれたんです。
後日、学校でその子とたまたま会った時に、その服を着てくれていて!私たちが愛着を持って着ていた服を愛用してくれていて、喜びを感じましたね。

ーー心がじんわりと温まるエピソードですね。own!tでは、他にどのような活動をされているのですか?

おしゃれなICUの学生のスナップ企画もしています。

私たち自身が好きなファッションに関われるのは楽しいけれど、さらにフォロワーさんを巻き込むことで、団体に興味を持ってくれる人を増やしたいという想いからメンバー以外を巻き込む企画を始めました。
最初はフォロワーさんやメンバーの好きなものをインスタグラムで紹介する「My favorite企画」をしていたのですが、「おしゃれなICU生に声をかけるのはどうかな?」というあるメンバーのアイディアからスナップ企画も始めました!

ーーメンバーが増えて、少しずつ活動の幅を広げていったのですね。

はい、他にもPodcastの配信も行なっています。
ファッションやサステナビリティ以外にも、色々なことに関心を持っているメンバーが多いんです。インスタグラムを通じてそれぞれの好きを発信しても、キャプションまでじっくり読んでもらえないかも…と思い、Podcastを始めました。
お笑いとか就活のこととか、同世代の子たちがカフェで話している、ちょっと気になる会話を盗み聞きするような感覚で聞いてもらえるPodcastです。

ーーファッションやサステナビリティ以外のトピックも話しているんですね。

own!tは、サステナビリティを頭の片隅におきながらも「自分たちの好きを恥じらわずに好きと言える社会に」という想いを込めて作った団体です。
団体名のown!tにも「恥じらわず自分のものにする」という願いを込めていて、それぞれの好きを恥じらず発信できる強さのある媒体でありたいですし、メンバーそれぞれの好きを発信することを大切にしていますね。

ーーなぜ人々の好きを応援したいと考えたのですか?

私自身も、真っ直ぐに好きを発信できず、もやもやしたことがあって。

私は映画が好きなので、「好きな映画はどれ?」という質問をされることが多いのですが、実は答えづらい質問です。相手に合わせて好きな映画を変えた方がいいのかな、自分が本当に好きな映画を答えたら話が盛り上がらないかもと、相手のことを考えてしまって、私の本当に好きな映画がわからなくなってしまう感覚がありました。
そんな私自身の経験もあって、着飾らず正直な気持ちを伝えることを応援したいと思っています。

フリーマーケットでは、看板も古着で手作り

様々な価値観を肯定する社会課題解決

ーーサステナビリティに配慮しながらも、好きを起点に活動したいという願いが根底にあるんですね!その想いはどのように生まれたんですか?

大学の授業でファッションの環境負荷の高さを学び、ファッションが好きだからこそ、環境問題に少しでも貢献したいと思うようになりました。環境問題に関心のない人も自然と取り組める仕組みがあったらいいんじゃないかなと考えています。

ーー環境問題に関心がない人を排除してしまうのは悲しいですよね。

社会には環境問題や社会問題に興味のある人もいれば、興味のない人もいます。環境問題に取り組む中で、環境問題に興味のない人の価値観を否定したくないと思っています。好きで購入した商品がたまたまフェアトレードで社会によい選択を自然とできたり、消費行動を通じて社会課題の一面を知ることができたり、小さな社会貢献を積み重ねることも大切なはずです。

大学のプログラムで、徳島県の上勝町ゼロ・ウェイストセンターの活動に参加したのですが、センター内にあるゼロ・ウェイストアクションを体験できるホテルが、おしゃれなホテルとしてメディアで紹介されていたんです。環境問題に関心のない人も宿泊を通じて社会に貢献できたり、環境問題を自然と学べたり、どんな人にもオープンな在り方が好きでしたね。

ーーゼロ・ウェイストセンター!!どのような活動をされていたのですか?

ゼロ・ウェイストセンターに集まるゴミの仕分け作業や、くるくるショップ(まだ使えるものを無料で持ち込み、持ち帰れる施設)の運営、ゼロ・ウェイストセンター内のホテルの運営のお手伝いをしました。

上勝町はゴミ収集車が全く走らない街で、住民自らゼロ・ウェイストセンターにゴミを持ち込んで45もの分別を行っています。きっと環境問題への関心が高くない人もいる中で、どのようにして住民の方々を巻き込んでゼロウェイストを実現しているのか知りたくて、ゼロ・ウェイストセンターの活動に参加しました。

ーー実際に参加してみて、どのような学び・気づきがありましたか?

全員が環境問題に関心があるわけではなく、生まれ育った地域で45分別が当たり前だから取り組んでいるのだとわかりました。それから、お店が早く閉まることで自分の趣味や家族との時間を確保できるなど上勝町には心に余裕を持てる環境があって、身の回りの環境や周囲の人々に目を向けるために、心の余裕が大切なのだなと思いましたね。

ーーインタビューを通して、メンバーの好きを起点に活動したり、サステナビリティに関心のない人が自然と社会貢献できるあり方を願ったり、あらゆる人の好きを肯定する価値観が印象的です。その価値観はどのように生まれたのですか?

人々の見えている部分だけを切り取る怖さや、私自身の一部を切り取られてしまう悲しさを感じたことがあって、人は常に人と関わって生きているけれど、その関わりだけでその人のことを全てわかっていると思ってはいけないなと考えています。

SNS上では明るく振る舞っていた友人が実は大きな悩みを抱えていたと知って、相談しやすい環境を作れていなかったなと反省したことがあります。私自身も、高校留学中にSNSで楽しそうな写真を投稿していた時、大変な経験もした中で、留学生活の楽しい部分だけが切り取られ知られていくことを悲しく感じました。そんな経験から、私に見えている部分がその人の全てではないことを頭の片隅に置きながら、見えている部分を否定するのではなく、肯定することを大切にしたいなと思っています。

エンタメを通じて人々の心に寄り添っていく

ーー卒業を控えていますが、今後のビジョンはどのようなものですか?

エンタメを通じて、多くの人に知らない世界を知ってもらったり、自分と同じような考えの人はいないんじゃないか…と不安を感じる人が一人じゃないと思えるきっかけを届けたりしていきたいです。
自分の好きなことを仕事にしたいという想いがある中で、ファッションと映画やドラマが好きで。その中でも、映画やドラマは、自分の知らない世界を教えてくれたり、自分の考えを肯定してくれたりする感覚が好きなのだなと思いました。これからは多くの人々にそのような体験を届けたいと考えています!

ーー今後も「好き」を軸にしながら、人に寄り添う活動をされたいんですね!

own!tの活動に込めた「好きを恥じらわずに好きと言う」という想いをこれからも大切にしたいです。
映画の配給会社に就職予定で、私自身もストーリーを書いてみたくて、シナリオの学校に通っていて、エンタメを届ける側になる準備を始めています!

ーー残りわずかのown!tの活動で、やりたいことはありますか?

今は、やりきった気持ちが大きいです。最初は3人で活動していたのですが、参加希望のメッセージをくれる子がいたり、授業で「own!tの方ですよね?」と声をかけられたりするようになりました。活動を始めて3年経ちますが、自分の頑張っていた活動の広がりを徐々に感じています。

なので、特別やりたいことはなくて、これからもown!tで活動を続けるメンバーが、先輩たちのやり方に縛られず好きなことをできるような雰囲気作りをしていきたいですね。

皆、好きを話す瞬間が一番輝いている

ーー最後に読者の皆さんへメッセージをいただけますか?

人は、自分の好きなことを話している瞬間が一番輝いてみえます。社会課題解決に関わっている人たちも、興味があるからこそ活動をしているのだと思うんです。

誰も自分の考え・想いを聞いてくれないんじゃないか、反対されるんじゃないか…と不安を感じることもあるかもしれないけれど、自信を持って活動していってください。私自身も、人々の想いを肯定して支える社会になったらいいなと思っています!

編集後記

他者や社会を想いながら、”好き”を軸に活動するほとりさん。
そんなほとりさんが紡ぐ言葉に背中を押してもらう感覚を味わいながら、インタビュー記事を記しました。

そして、「好きなことはあるけれど、私よりすごい人はいるし、私の話なんか楽しいかな」という自信のなさと向き合いながら、日々活動する私がいることに気付かされました。けれど、好きなことをやっている瞬間は本当に楽しくて。ほとりさんもおっしゃっていた「好きなことを話して輝いている」人でありたいなと思います。

好きを自覚することも、自分自身の好きに自信を持つことも難しいかもしれないけれど、もし同じような気持ちを持っている人がいるならば、少しずつ自分の好きに自信を持てるように、ぜひ一緒に頑張りましょう…!


「社会課題解決」という言葉では表現しきれない学生の経験・感情を文章にしたい!
そのような想いで、社会課題解決に取り組む学生へのインタビューを始めました。

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