日本と世界の食糧問題の現状とは?フードロス・飢餓問題の解決に取り組むビジネス3選

社会課題コラム

最近ニュースなどで取り上げられることが多くなった「フードロス」という言葉。

それだけではなく、アフリカなどの国で飢餓の問題に苦しんでいる子供たちの存在もよく耳にしますよね。

これらに関わっているテーマ、それは「食糧問題」です。

私たち編集部の中にもこの社会課題に対して興味を持っている人が結構います!

この社会問題を解決している企業、実際にはどのくらいあるのでしょうか?

実はあの有名な大企業も食品産業としてこういった問題を解決するためにさまざまな事に取り組んでいるのです。

今回はそんな社会課題の解決のためのビジネスアイデアを3つ、ご紹介していきます。

食糧問題とは?

地面に並べられた野菜

まずはじめに、食糧問題についてご説明します。

食糧問題とは

食糧問題は通常,人口に対する食糧の不足ないし人口の増加に食糧の供給が追いつかない状態であると考えられ,したがって人口食糧問題ともいわれる。人口問題を最初にとり上げたのはイギリスの古典派経済学者T.R.マルサスであった。マルサスは1798年に出版された《人口論》で,人口は幾何級数的に増加する傾向をもつが,食糧の供給は算術級数的にしか増加せず,したがって人口は食糧の供給能力の枠内に抑制されざるをえない。

引用:コトバンク

つまり、コトバンクでは「人口に対して食糧が足りていない事」を食糧問題ととらえています。

しかし本当にこれが食糧問題でしょうか?

実は全世界で見るとすべての人が十分に食べられるはずの食品が生産されているのも関わらず、アフリカなどではいまだに飢餓で苦しんでいる人々が大勢いるのです。

それとは反対に日本などの先進国ではフードロスの問題が顕著になってきています。

フードロスも食糧問題のひとつだと言えるのではないでしょうか。

ここで少し触れたフードロス、そして飢餓問題についてもう少し深く突き詰めていきましょう。

フードロス

最近になってよく耳にするようになった「フードロス

「フードロスを無くそういった言葉はニュースとかでよく聞くけど、イマイチ良く分かっていない…」

そんな人も多いのではないでしょうか?

フードロス(食品ロス)とはまだ食べることができるのに廃棄されてしまう食品のこと。

農林水産省によると日本の食品廃棄物などは年間2,531万tにも及び、中でもまだ食べられるのに捨てられたいわゆるフードロスは年間600万tもあると発表しています。

これは日本人全員が毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てていることに匹敵します。

エシカル花子
エシカル花子

そんな量が毎日捨てられているなんて、生産者にとても悲しい事実ですよね…

飢餓問題

一方で飢餓問題とはどういった課題なのでしょうか?

2017年時点で8億人以上の人が飢餓で苦しんでいると言われています。

飢餓とは長期間、食事を摂ることができないため栄養が摂取できず、生存や生活が困難な状況のことを指します。

飢餓には主に、「突発的な飢餓」「慢性的な飢餓」この2種類が存在し、突発的な飢餓は災害や紛争などが原因の一時的な飢餓なのでニュースなどで取り上げられやすいと言われています。

ただ、もう一方の慢性的な飢餓の場合、低賃金、フェアではない貿易、貧しい生活などの社会の仕組みにより引き起こされる飢餓であり、こちらがニュースなどで大きく報道される機会はめったにありません。

彼らの死因も栄養不足にもので緊急性が無いことを理由に解決を先延ばしにされているといった現状もあります。

(出典:https://gooddo.jp/magazine/hunger/children_hunger/543/)

なぜこの課題が問題視され始めたのか?

サンドイッチを物差しで測る

フードロスや食糧問題はまだまだ聞きなじみが無くて、自分にはあまり関係のないことだろうと考えてしまう人は日本にはたくさんいます。

しかし、長期間的な目で見ていくと、経済的な面と環境的な面で課題が現れていきます。

例えば、経済面

日本では毎年2500万t以上の食品廃棄物等が排出されており、その中でもまだ食べることのできる食品ロスは年間600万tにも及ぶと言われています。

日本の食品ロスへの認知は年々高まってきてはいるものの、食品廃棄物を処理するためには当然お金がかかってくる…

埋め立てや焼却だけでなく、それらを運搬するためのお金も。

環境省の発表によるとごみの処理費として毎年2兆円もの費用がかかっており、その中の4~5割がなんと食品…。単純計算でも8,000億円~1兆円の税金が食品廃棄物の処理に使われているんです。

私たちが生み出したごみを自分たちが税金を払って処理をしているんです

また、日本の人口は年々減り続けているものの、世界の人口は増え続けています。

人口が増えるということは労働者も増えるということで、もちろん食べ物も必要になってきますよね。

今日本は食品の多くを海外からの輸入に頼っている状態です。

それが将来、日本に回ってくる食品が足りなくなり、輸入ができなくなるといった可能性もないわけではないのです。

これでは食品ロスを生み出している場合ではないですよね。

次に環境面

上記の通り、食糧廃棄物の処理にはお金がかかりますが、必要なのはそれだけではありません。

廃棄物を焼却処理する際に出る二酸化炭素や、廃棄物を埋め立てるための場所も増えていきます。

当然、森や林を伐採して埋め立てをしたり、海を埋め立てて処理場を作ったりしていますが、この小さい面積しかない日本で同じことを長期間続けることは不可能です。

このように食糧問題は日本の環境にまで影響しているのです。

出典:「食品ロスと私たちの未来」

食糧問題をビジネスで解決する可能性は?

オフィスでの話し合い

1.人工肉

一つは人工肉といった方法があります。

最近では大豆で作られたソイミートなどの植物性たんぱく質を肉状に加工した代替肉や、培養肉といった牛や豚の細胞を培養して作られたお肉が生み出されていますよね。

培養肉は牛や豚を殺さずに彼らのお肉を採取することができるので、クリーンミートとも呼ばれています。

世界の人口増加に伴い、近い将来「一人当たりが摂取できるたんぱく質が足りなくなる」と言われています。

タンパク質は私たちの体を作るための重要な栄養源です。

しかし、牛や豚といったような動物の肉の生産量が人口増加に伴い間に合わなくなり、この人工肉が注目されるようになりました。

ソイミートなどの代替肉も年々本物の肉に近いような味や食感になってきているので、数年後がどんな風になっているかが楽しみですよね。

エシカル花子
エシカル花子

私もこの前ソイミートをおつまみとして購入しましたが、本物のビーフジャーキーのようでとてもおいしかったです!

2.植物工場

植物工場も食糧問題の解決に繋がるであろうと言われています。

植物工場と聞いて、あなたはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

実はこの植物工場、1980年から徐々に話題になっていました。

植物工場とは、施設内で植物の生育環境(光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制御して栽培を行う施設園芸はありますが、

そのなかでも、環境及び生育のモニタリングを基礎とし、高度な環境制御と生育予測を行うことによって野菜等の植物の周年・計画生産が可能な栽培施設を植物工場と呼びます。

これらは主に二つの区分で分けられており、

  1. 閉鎖環境で太陽光を使わずに環境を制御して周年・計画生産を行う「完全人工光型」
  2. 温室等の半閉鎖環境で太陽光の利用を基本として、雨天・曇天時の補光や夏季の高温抑制技術等により周年・計画生産を行う「太陽光利用型」

があると言われています。

参考資料:農林水産省ホームページ「施設園芸のページ」

つまり、植物工場を使えば、どんな環境でも、どこでも、いつでも野菜などの植物が栽培できるということ

近年は日本の自然災害も増え、野菜の価格が高騰したり、十分な食材が市場に回ってこないなどの問題がありますよね。

こういった植物工場は安定した野菜などの植物の生産を助け、品質の均一化、また生産地が限定的にならないので運送コストの削減などにつながる可能性があると言われています。

これにより、見栄えが悪くて廃棄される食材を減らすことができますし、天候や災害に左右されず安定した食材の供給が可能となります。

3.食品廃棄物の配合飼料原料化・肥料化と発電

食糧廃棄物の肥料化バイオマス発電などは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

2001年に食糧廃棄物の発生の抑制と減量化のために食品リサイクル法が施行され、この法律によって食糧廃棄物を資源として肥料や飼料として新しく利用される法律が生まれました。

またこれらの食糧廃棄物はバイオマス発電のためのエネルギーにも役立っています。

食糧廃棄物はただ減らす、発生を抑えるだけでなく、新しく生まれ変わらせるという取り組みも大切です。

エシカル花子
エシカル花子

この他にも食糧廃棄物のリサイクル方法がたくさん生まれ始めています 。

サステナブルな社会がだんだんと作られてきましたね。

さいごに

今回は日本と世界の食糧問題の現状やフードロス・飢餓問題の解決に取り組むビジネスを3つご紹介していきました。

普段私たちが体に取り入れている「食」の問題だからこそ、もっと注目していくべき課題なのかもしれません。

また、これらの課題を解決するビジネスが毎年世界中でたくさん生まれています。
今後の食糧問題がどうなっていくのか、この目で確かめていきたいですね。

エシカル就活ではこのような社会課題に向き合い、解決に取り組んでいる企業を掲載しています。

あなたの気になるエシカル企業を見つけてみてくださいね。

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