【事例紹介】気候変動対策に、企業はどう取り組んでいるか?

気候変動

「気候変動に関する政府間パネル」では今のまま温暖化が進むと20世紀末と比較して2100年には最大で6.4℃気温が上昇すると言われています。

参考:気候変動に関する政府間パネル(気象庁HP)

地球温暖化が深刻化することで環境や生態系に甚大な影響が及ぶことから、2015年のパリ協定採択をきっかけに気候変動対策は全世界の最重要課題となっています

日本政府は、2050年にカーボンニュートラルを実現するための政策として「グリーン成長戦略」を掲げ、エネルギー関連領域を中心に、14の重点分野を設定しています。

出典:グリーン成長戦略(概要)|経済産業省

2050年にカーボンニュートラルを実現した場合の経済効果は約290兆円、雇用効果は約1,800万人と試算されており、政府は税制や規制改革などさまざまな支援を行っていく計画です。

また、政府だけでなく、環境問題に配慮した企業に投資をするという「グリーン投資」や人・社会・環境に配慮した消費行動を指す「エシカル消費」といった新たなキーワードが生まれているように、カーボンニュートラルは企業を取り巻く各ステークホルダーにも影響力を増してきています。

本記事では、気候変動対策に強い関心のある就活生に向けて、分類別に企業の取り組み事例を取り上げていきます。

大企業・スタートアップのアプローチの違い

企業の取り組み事例に入る前に、大企業とスタートアップの気候変動対策の傾向の違いについて触れます。両者を比較することで、ご自身がどういった立場で気候変動対策に取り組みたいか、考えるきっかけになるはずです。

大企業にとって、カーボンニュートラルは「既存事業の継続性を担保する」という意味合いで取り組まれる傾向にあります。社会的責任が重く、カーボンニュートラルに向けた取り組みには難易度の高い意思決定が求められます。業界によっては、ビジネスモデルの大転換が迫られており、時間をかけて慎重に施策が進められていくでしょう。一方で、取り組みが軌道に乗った際の社会的インパクトは大きいです。

一方、スタートアップにとって気候変動対策のマーケットはこれ以上ない事業アイデアの宝庫ともいえ、ユニークな視点から事業が生まれてくる傾向にあります。先端技術の種がスタートアップから多く生まれてくるでしょう。小規模ゆえの柔軟な方針転換も可能である一方で、社会的信用や資金、人材などの経営資源は常に不足していることも特徴です。

カーボンニュートラルは野心的な目標なので、大企業・スタートアップが相互に強み・弱みを補完しあう姿勢が欠かせません。気候変動対策に対しても、近年注目されているオープンイノベーションの考え方を適用し、あらゆるステークホルダーの利害を調整してアライアンスを実現できる人材がまさに求められている領域と言えるのではないでしょうか。

気候変動抑制に向けた、企業の取り組み事例

ここからは、実際に気候変動対策に取り組んでいる企業の事例について紹介していきます。

  • 再生可能エネルギーへの切り替え事例
    • 東京メトロ
      • 2022年1月〜2022年12月まで本社と総合研究センターで、実質再エネ100%電力に切り替え
      • 東京電力エナジーのパートナーの電力メニューを導入し、年間1,811トンのCO2排出量を削減
      • 再エネ指定ありの非化石証書を東京電力エナジーパートナーに提出し、CO2を実質ゼロにした
    • 味の素
      • 2020年8月、グローバルな環境イニシアチブ「RE100」への参画を表明し、2050年までに再生可能エネルギー100%の実現に向けて活動している。
      • 参画以前から再生可能エネルギーを導入しており、本社・国内各営業拠点における使用電力を対象に「グリーン電力証書」を購入
      • ブラジルやタイなどの海外工場では、バイオマスボイラーの導入や、サトウキビの搾かす,籾殻を使った燃料を使用している
  • 事業活動における省エネ行動 事例
    • イオン
      • 2022年6月21日〜9月30日までの平日と需給ひっ迫注意報発令日に「イオンライトダウンキャンペーン」として供用部通路、屋上エスカレーターの消灯を行う
      • 来店客には取り組みの内容を1時間に1回行う
      • 政府から電力逼迫における節電対策の要請を受け、実施に至った
    • ヤマトホールディングス
      • ハイブリッド自動車・電気自動車の導入を進め、電気自動車を4,100台、ハイブリッド車4,200台、電気自動車570台所有している。
      • デンソーと共同で小型・軽量の持ち運び可能な冷凍機を開発し、モバイルバッテリーで駆動し、ドライアイスも使用しないため走行中の燃費向上やGHG排出量削減に貢献している
  • カーボンオフセットの促進事例
    • WasteBox
      • 2006年2月に設立
      • スコープ1,2,3それぞれの排出量を分析し、各企業にカーボンオフセット達成に向けての支援を行う
      • カーボンオフセットや排出権のクレジット販売を行う企業
      • ヒアリングから排出量の調査、プロモーションの実施まで一連の流れを担当
      • カーボンオフセットやカーボンニュートラルの認証取得支援を行っている
  • 顧客やサプライチェーンを巻き込む事例
    • みんな電力 × エポスカード
      • 再生可能エネルギーを届ける「みんな電力」と提携し、気候変動対策に取り組んでいる
      • 廃棄プラスチックのリサイクル素材で作られたクレジットカードを提供
      • 従来のカードよりも一枚あたり9.8gのCO2を削減して作られている。
      • カード発行後にみんなエール応援金1,000円分が自然エネルギー発電所に送られる
  • 技術に強みを持つスタートアップ企業
    •  グリッド
      • グリッド社は、AIを用いたコンピューターシステムの開発や、社会インフラ・スマートシティの最適化を行っている
      • 電力需要に応じた発電設備の制御をAIにより最適化させている。
      • 送配電網をコンピューター上に再現することで、電力ロスの再消化・ルート最適化し、CO2削減につなげている
      • 高速道路の渋滞予測を過去のデータから予測することで道路管理業務の効率化だけでなく、渋滞緩和によるCO2削減に貢献している(道路×AI)

気候変動対策に取り組む企業・団体を探すには?

気候変動対策に取り組みたい方におすすめする求人サービスをご紹介します。

社会課題をコンセプトに据えた求人サービスは多くないため、どのサービスも貴重な情報収集源になるでしょう。

1.エシカル就活

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大手企業・スタートアップともに、掲載されている

D&I分析やESGレポートを元に、審査を通過した企業のみが掲載されており、社会課題別に企業を探せるだけでなく、プロフィールを登録しておけば、エシカル企業からスカウトが届くのが特長です。

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2.エコリク

エコリクはグリーンジョブ専門の求人サイトで、サステナブル領域で社会貢献する企業と求職者のマッチングを行なっています。2001年から運営されており、環境ビジネス領域に特化して求人サービスを展開している企業としては先駆けとなっています。

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3.Drive Career

Drive Careerは、「働く人の思い」や「仕事のやりがい」を重視した求人サイトです。

1993年の創業以来、実践型インターンシップや企業支援プログラムを提供しているNPO法人ETIC.が運営しています。「未来を創る」仕事に特化し、共通の思いやビジョンを持った仲間と働くことをコンセプトとしています。

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