環境保全との向き合い方 | ビジネスで解決するには?

環境保全

普段何気なく消費している食べ物や日用品、エネルギー。

基本的に私たち消費者が直接関わるのは、購入・使用・廃棄、という過程のみであり、購入するまでの生産過程や廃棄後について考える機会は少ないかと思います。

実は近年世界全体で消費される資源量は年間地球1.5個分超、ということをご存知でしょうか?

超過した分は未来の資源を切り崩して消費していることになります。これは決して持続可能とは言えませんよね。

とはいえ、生活していく以上ものやエネルギーの消費を避けることはできません。

そこで必要となるのが、持続可能な生産・消費スタイルの実現につながる環境保全です。

この記事では環境保全の定義を踏まえた上でその重要性を説き、ビジネスとして取り組む可能性について紹介していきます。

早速定義から見ていきましょう。

環境保全とは?

環境省のガイドラインでは、

「環境保全」とは、事業者等の事業活動により環境に加えられる影響で、環境保全上の支障の原因となるおそれのある環境負荷の低減のための取組

と定義されています。(引用:環境省「3. 環境保全の定義」)

つまり、経済活動がもたらしうる環境への負荷を抑える取り組みのこと。

近年、環境問題がクローズアップされることが多くなりました。

この記事を読んでいる方の中にも普段こういった問題を見聞きして、なんらかのアクションを起こさねばという衝動に駆られた経験がある方もいるかもしれません。あるいは実際に行動に移している方もいるかと思います。

具体的にどれくらい地球に負荷がかかっているのでしょうか?

地球1.7個分の生活?アース・オーバーシュート・デーの話

2021年のアース・オーバーシュート・デーは7月29日でした。

なんて突然言われてもよく分からないですよね。

順に紐解いていきましょう。

まず、「アース・オーバーシュート・デー」という言葉について。

これは国際NPOのグローバル・フットプリント・ネットワークが提唱した、エコロジカルフットプリントがバイオキャパシティを超えた(=アース・オーバーシュート)日のこと。

また聞き慣れない単語が出てきましたね…。

エコロジカルフットプリントとは、ある年に人類が消費する自然資源量の生産、加えて人類の活動から発生する二酸化炭素を吸収するために必要な生態系サービスの総量のこと。簡単にいうと人類が活動するにあたって消費する、ある年の資源量を指します。一方バイオキャパシティとは、1年間で地球が供給できる資源量のこと。

つまり需要が供給を超えて、生態系が赤字になってしまっていることがアース・オーバーシュートであり、1年間でいつその日を迎えるのかを表したのがアース・オーバーシュート・デーなのです。

アース・オーバーシュート・デーが7月29日ということは、この日までの約210日間で地球が1年間で供給できる資源量を超えてしまい、この日以降残りの約5ヶ月間は地球に借金しながら資源を消費して生活を送るということを表しています。

実はこの赤字の状態、近年に始まったことではありません。

下のグラフをご覧ください。

画像1

(出典: Global Footprint Network “Infographics & Videos-Earth Overshoot Day”

これは1970年から2021年までの毎年のアース・オーバーシュート・デーをグラフ化したものです。1970年代前半以来赤字であり、オーバーシュートを迎える日は50年間で5ヶ月も早まっていることが分かります。

また、グラフの上に記載があるように1年間で必要な地球資源は地球1.7個分

もし世界中の人が日本人と同じような生活をしたら?

日本のアース・オーバーシュート・デーは5月6日であり、更に多い約2.9個分の地球が必要になります。

どうですか?

予想より多いでしょうか?

国によってはもっとオーバーシュート・デーを迎える日が早かったり、迎えずに終わる国もあります。

このアース・オーバーシュート・デーの指標から、私たち人類の経済活動が環境に与える負荷がいかに大きいものかが理解いただけたかと思います。

こういった負荷がかかることによって、

・地球温暖化

・環境汚染

・熱帯雨林の減少

・生物多様性の大幅な減少

等の問題が引き起こされているのが現状なのです。

(出典:おしえて!アミタさん「2021年のアース・オーバーシュート・デーはいつ?日本の資源利用の状況は?」)

どうやって環境保全と向き合う?

現状を打破するために、まずは地球1個分の資源の消費に抑え込まなければいけません。

ですが一口に「環境保全」とは言っても、様々な手段があります。

その中には個人でもできることがあるのはもちろん、ビジネスとして解決する手段もあります。

「日本と世界の食糧問題の現状とは?フードロス・飢餓問題の解決に取り組むビジネス3選」にて取り上げられていた代替肉(例:ソイミート)の開発もそのうちの一つ。

今回の記事では、温室効果ガス排出削減・環境の直接保護・ゴミ問題への対処の3つの観点から

・再生可能エネルギー

・エコツーリズム

・廃棄予定だったものやゴミが生まれ変わってできた製品

についてご紹介します。

1.再生可能エネルギーの生産・消費

再生可能エネルギーには太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス等が含まれますが、食料問題に関する記事でも取り上げたバイオマス発電についてより詳しくみていきましょう。

バイオマス発電とは、動植物から生まれた資源を直接燃焼したりガス化することによって発電する方法

具体的なメリットとしては、

・CO2排出量が削減できる(カーボンニュートラルの考え方に基づく)ため温暖化対策になる

・未活用の廃棄材を燃料とすることで廃棄物の再利用や減少、環境改善に繋がる

・発電時の熱を有効活用できる

といったものが挙げられます。

中には既にバイオマス発電を積極的に取り入れ、バイオマスタウンの実現が進んでいる自治体も。

(参考:経済産業省 資源エネルギー庁「バイオマス発電|再エネとは」)

2. エコツーリズム

エコツーリズムとは、

自然環境や歴史文化を対象とし、それらを体験し、学ぶとともに、対象となる地域の自然環境や歴史文化の保全に責任を持つ観光のありかた

のことを指します。(引用:環境省「エコツーリズムとは」)

元々は途上国にて経済振興を図り、自然開発から自然を保護するために注目され始めたものであり、その後先進国にて持続的な観光振興を目指す概念として広まっていきました。

日本で実施されるようになったのは1990年頃のこと。

用意されているツアーは地域によって様々ですが、世界遺産である屋久島でのエコツアーを聞いたことがある人は多いかもしれません。

エコツーリズム推進法では、このエコツーリズムにより

自然環境の保全/観光振興/地域振興/環境教育の場としての活用

の4つを実現することを目指しています。

(出典:環境省「エコツーリズムの歴史」)

3.廃棄予定だったものやゴミを生まれ変わらせて商品化

実際に見たことがある、購入経験がある方もいるのではないでしょうか?

例えば、近年問題意識が高まりつつある海洋プラスチックゴミ問題解決につながる、海洋プラスチックゴミからできたインテリア雑貨や靴、アクセサリー

アップサイクルによって新しい製品へとアップグレードされて生まれ変わった、本来は捨てられるはずだった廃棄物。これは元の形をなるべく活かそうと作られるため、リサイクルよりもサステナブルだとされています。

現代の社会には使い捨て文化が浸透しており、生産時に資源やエネルギーが使われるだけでなく、処理する際にも消費されています。更に、廃棄・処理されたもの自体が環境にも影響を与えています。

ものを生まれ変わらせることは生産・処理時の負荷を抑えることにつながります。

意外と身近なところでもこういった商品が販売されるようになってきたので、探して購入してみるのも良いですよね。

(参考:IDEAS FOR GOOD「アップサイクルとは・意味」)

まとめ

持続可能な社会の創造に必要な環境保全。

この記事ではその必要性やビジネスを通じての解決手段について紹介してきました。

環境保全を実現するビジネスを3つ挙げましたが、これはごく一部の例です。この他にも収益の一部が環境保全に繋がる取り組みに使われる商品やサービスの展開等もありますよね。

一口に環境保全とは言っても様々なアプローチ方法があります。

是非あなたの向き合いたい課題の解決に繋がるビジネスに取り組んでいる企業を探してみてください。

そういった企業と出会える場所として、エシカル就活をご活用いただけると幸いです?

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