日本における医療やヘルスケア問題。
私たちの暮らすこの国の医療は世界から見ても高い水準であり、中でも日本は保険証さえあればいつでも誰でも医療サービスを受けることができますよね。
そんな日本の医療やヘルスケアの現状はご存じでしょうか?
医療と聞いて思い出すのは高齢者問題であったり、コロナのことであったり…
それもあながち間違ってはいません。
今回はそんな日本の医療・ヘルスケアの現状と今後についてご紹介していきます。

2025年問題って聞いたことある?日本の医療の課題って何?

あなたは2025年問題という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
「2025年問題」とは、西暦2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、我が国が超高齢化社会になることを指します。
団塊の世代の人口は現在約800万人おり、厚生労働省の試算では、この方々が75歳以上になると、現在約1,500万人の後期高齢者人口が約2,200万人に膨れ上がるといわれています。
日本は、国民の4人に1人が75歳以上という、世界史上類を見ない超高齢化社会に突入することになります。
2025年問題の影響で、私たちにはかなり大きな負担がのしかかると言えるでしょう。
「え、それがどうかした?」と思っている人も少なくないのではないでしょうか?
高齢者が増えるということは、何らかの原因で病院に通う人が増えることになります。
実質日本の医療費の約4割が75歳以上の方の医療費だと言われています。
そうなると日本の社会保障が圧迫されるとともに、医師や看護師が足りなくなるという状況が起きます。
また、介護の問題も押さえておかなくてはいけません。
この2025年問題でポイントとなるのが75歳。
この年齢はちょうど日本人の健康寿命と平均寿命の分岐点となるあたりの年齢なのです。
(出典)厚生労働省「平成25年簡易生命表」
(出典)厚生労働省「健康日本21(第二次)分析評価事業(平成25年)
この図のように、男性の健康寿命が71.19歳に対して、平均寿命は80.21歳
そして女性の健康寿命が74.21歳に対して平均寿命は86.21歳です。
日本人の平均寿命が伸びる事はとても良いことですが、介護となれば話は少しずれてきます。
先ほどもお伝えした通り2025年になると人口の4人に1人が75歳以上の高齢者となります。
この時、介護を行う人の数が介護を求めている人よりも足りない、という可能性があるのです。
この支える人と介護を必要とする人の数のバランスが今懸念されています。
参考:2025年問題とは?企業として取り組むべき介護と仕事の両立支援/総務人事タイムズ
コロナでより顕著になった医療難民って何?

コロナの流行によってよく耳にするようになったのが、医療難民というワード。
医療難民(いりょうなんみん)とは、医療サービスの享受に困る社会問題、またはその被害を受けた人々を指す言葉。
引用:wikipedia
実際この問題はコロナ前から起きており、政府が2018年に出した草案で地域単位で病院ごとの役割を明確化し、分担することで、全体のベッド数を減らし、医療費を削減しようとしたことがきっかけでした。
政府が目指していた地域医療構想は高齢者の入院患者が使用するベッド数を減らし、医療費用を下げることが目的でした。
しかしこれは、手厚い医療支援を必要としない高齢者は自宅療養や介護施設で医療を受けることになるのでは?と批判が集まっています。
また、コロナで医療が逼迫し病室が確保できない、十分な治療が受けられず深刻な症状であっても自宅療養を求められるなど、俗にコロナ難民とも呼ばれます。
地域医療が抱える問題って?

一方で地域医療はどうなのでしょうか?
地域医療とは、行政と医師・看護師といった医療従事者、そして地域住民が三位一体となって地域の限られた資源を最大限に活用し、保険医療や包括的医療を計画・実践・評価する医療です。このマネジメントサイクルが地域医療であるといえます。
引用:Medical note 地域医療とは
地域医療の課題は過疎化による病院が無くなったり、医師や看護師が不足しているなどの問題が目立ちます。
以前は地域医療といえば、医師の不足している地域で新しい医療を展開することと言われていたようですが、現在のように地方の高齢化や過疎化が進む日本では新たな解決策を求めていく必要があると言われています。
参考:Medical japan 地域医療の課題は医療の効率化。地域医療の第一人者が考える解決策とは?
医療の国際化はどうなっている?
現在はインターネットが発達し、昔よりも医療のグローバル化が急速に進んでいます。
日本でも外国人向けに日本の医療を提供する部が作られたり、日本の医療技術を海外医師向けの教育プログラムを提供したりなど、医療のグローバル化に向けて様々なことが行われています。
また、SDGsの目標3にある通り、「すべての人に健康と福祉を」は、私たちが健康であるため、そして生きるための重要な基本的人権です。
先ほどは日本の医療の国際化に目を向けましたが、世界から見ると実は適切な医療保険サービスを受けられない人たちが全世界の半分とも言われています。
また、世界には5歳になるまでに亡くなる子供が年間約560万人いると言われており、およそ5人に1人が今この瞬間も命を落としているのです。
主な原因は肺炎や下痢、マラリアと言われています。
出典:Unicef
医療に不平等があってはならないですし、救える命は守らなければいけません。
ワクチンや予防接種により、命を落としてしまう原因を減らしてはいますが、貧困や衛生面などの根本的な解決をする必要があるのではないでしょうか?
参考:SDGsジャーナル/SDGs|目標3 すべての人に健康と福祉を|満たされるべき基本的人権
Medical note医療の国際化をどう推進するか ‐渡航医療などで加速する「医療グローバル化」の課題を解決する取り組み

未来の医療はどうなる?そのアイデア

現在の医療はテクノロジーの進展により、今まで治療できなかった病気を直したり、早期発見や医療技術の工場に繋がっています。
もう未来の話ではないかもしれませんが、今注目されている医療のアイデアについてご紹介します。
医療現場にAIの導入
医療にAIが導入され始めているのは、ちらほら聞いたことがあるのではないでしょうか?
実は人工知能の医療への導入は60年前から始まり、画像認識力を高めることで画像診断や細胞診における腫瘍の発見や、膨大なデータの中から異常をすぐに見つけられるなど、今まで人間が行っていたことをAIがすることで医師や医療の質の向上が見込めます。
また、人工知能が簡単な診療を行うことができれば、発展途上国などの医療が十分に行えない地域や国でも大きな助け船になるのではないでしょうか?
人間が目視で診察しているように、AIも人間の表情などを分析しながら診療を行うことが可能だそうです。
現在、シリコンバレーでこういった事業を行っているベンチャーも生まれ始めています。
参考:リクルートドクターズキャリア
他にも、血液検査で患者の血液を数滴カートリッジ化し、AIで画像認識するだけで病気の早期発見も可能となる高精度な診断システムの開発によりガンの早期発見にも繋がっています。
年々増加している女性の乳がん。
検査時に機械で胸を挟むため、怖いと感じている人もいるのではないでしょうか?
現在「涙」を使ってガンの早期発見を行う研究がされており、世界初の発見方法で、5分で結果が分かると言われています。
このような新たなテクノロジーや研究でより早期の発見ができ、私たちの不安が少しでも軽減されていくのは嬉しいことですよね。
遠隔治療
AIとともに注目されているのが医療のDX。
このコロナ禍で自宅療養をする人が増え、ますます遠隔医療が注目されましたよね。
遠隔医療は地方などで車で何時間も移動しなければ病院にいけないような地域に住んでいる人や、専門的な科に通えない人たちがより医療へアクセスしやすくすることを可能にします。
また、すぐに医療を提供することができるので、受付をして部屋で待ったり、予約の合間に部屋を掃除したり…などの手間も減ります。
人の出入りが減るため、インフルエンザやコロナなどのウイルスを病院に持ち込むなどのリスクも避けることができます。
安全な環境を作ることができるのも遠隔医療の魅力ですよね。
海外にいてもかかりつけ医の診断が受けられるというのも注目ポイントです。
参考:intel 遠隔医療
まとめ
今回は日本の医療やヘルスケア、そして医療の国際化やこれからの医療の未来についてご紹介していきました!
あなたの今まで感じてきた医療と少しイメージは変わりましたか?
良くなったという人もいれば、悪くなったという人もいるでしょうし、この先私たちが亡くなるまでにお世話になる可能性の高い分野でもあります。
日本の医療やヘルスケアの変化を体感していくのは、今この記事を読んでいるあなたを含めた私たちです。
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